仕事で会議のファシリをやることがそれなりにある。しかし、「意見を促し議論を活発化させる上手な問いかけ」ができていない課題感がずっとあった。読んだ感想としては、これがちゃんと使いこなせたら相当チームのパフォーマンス上がるだろうな、と思う。実践するのはとても難しいけど、少しずつ使って身につけていきたい。
memo
- チームの問題は、過渡期にあることからきてる。ファクトリー型からワークショップ型への過渡期。
ファクトリー型への環境適応による「4つの現代病」
- 判断の自動化による、認識の固定化
- 部分的な分業による、関係性の固定化
- 逸脱の抑止による、衝動の枯渇
- 手段への没頭による、目的の形骸化
- 人は、目的なきことにも没頭できる = 学校教育の賜物
チームのポテンシャルが発揮されるための循環
- 「こだわり」を見つけて育てる
- 「とらわれ」を疑い、問い直す
- こだわりを見つけて育てる
- 内なる動機で生まれた「やりたい!」から見えてきた個々人のこだわりの違いを、チームを豊かにする「個性」として認め合い、対話を通じて深く理解しようとすることが重要
- そこから共通の核となるチームとしてのこだわりを育てていく
とらわれを疑い続ける
- 自分たちのものの見方は、捨ててもいい「とらわれ」なのか?これからも守るべき「こだわり」なのか?を探索し続ける姿勢
議論と対話
- チームのコミュニケーションには、「雑談」「議論」「討論」「対話」の4つがある
- 議論
- 合意形成や意思決定のための建設的な話し合い
- 最適な結論を求めることが目的
- ファクトリー型で最も利用される
- 合意形成や意思決定のための建設的な話し合い
- 対話
- 議論と違い、最適な結論を出すことが目的ではない
- 意見の背後にどんな意味づけをしているのか、理解を深める
- 自分と違う意見でも、暗黙の前提や価値観に興味を持って、理解しようと努める
- 議論
- チームのコミュニケーションには、「雑談」「議論」「討論」「対話」の4つがある
問いかけのメカニズム
- 問いかけとは
- 相手に質問を投げかけ、反応を促すこと
- 問いかけは、相手の感情を刺激する
- 問いかけの基本定石
- 相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
- いい問いかけは、「相手への好奇心」から生まれる
- 適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る
- 遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す
- ex. 「もし社長にバレないように戦略を1つ追加するとしたら?」
- 凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す
- いつも使うことばを使わず質問してみる
- ex. 「利便性」をよく使うチームなら、「不便だけど、つい使ってみたくなるプロダクトって?」
- いつも使うことばを使わず質問してみる
- 相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
問いかけのサイクル
- 見立てる
- 組み立てる
- 投げかける
問いかけの作法①見立てる
- チームの状態を観察し、一人一人が今どういう状態にあるか?仮説を立てなければならない
- 対象に解釈を加える
- 観察ガイドライン
- 何かにとらわれていないか?
- こだわりはどこにあるか?
- こだわりはずれていないか?
- 何かを我慢していないか?
- 見立ての着眼点
- 何かを評価する発言
- ポジであれネガであれ、評価をするということは背後に評価するための観点があり、その根底には何らかの価値観がある
- 未定義の頻出ワード
- 愛着のある「こだわり」か、もしくは形骸化しつつある「こだわり」の可能性が高い
- 姿勢と相槌
- 表情や頷きなどの動きに感情が現れやすい
- 何かを評価する発言
三角モデルで必要な変化を見定める
- 場の目的
- 見たい光景
- 現在の様子
場の目的パターン
- 情報共有
- すり合わせ
- アイデア出し
- 意思決定
- フィードバック
問いかけの作法②組み立てる
前提
- チームにおける自分の立場や役職を考慮する
- 元々の自分のキャラクターや芸風に合わせる
- コミュニケーションスタイル
質問を組み立てる順序
- 未知数を定める
- 素直なアプローチは、「場の目的」や「見たい光景」に設定した言葉
- 未定義のワード
方向性を調整する
- 主語の抽象度
- あなた→チーム→組織→社会
- 時間軸
- 過去、未来
→ 主語の抽象度 x 時間軸 でマトリクスを作る
- 主語の抽象度
制約をかける
- 制約をかけるテクニック
- トピックを限定する
- 狭すぎると逆に話しにくくなる。問いかける本人の「とらわれ」がある可能性も忘れない
- 形容詞を加える
- ex. たのしく、快適に、豊かに、これまでにない新しい、etc…
- 範囲を指定する
- 主語の抽象度を下げる、時間軸を短くする
- 答え方を指定する
- ex. 1つだけ挙げるなら、3つでに絞るとしたら、10分間のプレゼンをしてください
- 発散と収束
- 発散を促すときは、ハードルを下げる制約を、収束を促すときは制約を厳しくする
- トピックを限定する
- 制約をかけるテクニック
- 未知数を定める
- 慣れないうちは、ゆっくり組み立てる
- 慣れれば、その場で組み立てられるようになる
フカボリとユサブリ
フカボリ
- チームの根底にある「こだわり」がはっきりしないときに解像度を高める
- 質問の型
- 素人質問:みんなの当たり前を確認する
- 「AKY」= あえて空気読まない
- ルーツ発掘:相手のこだわりの厳選を聞き込む
- when、whyで掘り下げ
- こだわりが発露しやすいポイント
- 基準の高さ
- 過剰な投資
- 違いの識別
- 怒りのツボ
- 偏愛対象
- 休みの日には何に時間やお金を投資しているか?
- 違和感
- 真善美:根底にある哲学的な価値観を探る
- “あなたが考える”本質を答えられる問いかけが重要
- ex. コロナ禍で実感した、本当の意味での正しいビジネスマナーとは?
- “あなたが考える”本質を答えられる問いかけが重要
- 素人質問:みんなの当たり前を確認する
ユサブリ
- 固定観念や価値観のズレなどの「とらわれ」が見えてきたときに、揺さぶりをかけて、新しい可能性を探る
- 質問の型
- パラフレイズ:別の言葉や表現に言い換えを促す
- バリエーション
- たとえる
- 課題を病気や怪我にたとえてみる
- 発想の飛躍
- 課題を病気や怪我にたとえてみる
- 数値化
- 100点満点で何点?
- 数値そのものより、「なぜその数値なのか?」を追加で質問し、理由を語ってもらうのがいい
- 動詞化
- 名詞を動詞にする
- ex. どんな”リニューアル案”がいい?→ 何が”変わる”とよい?
- 対象の視点がモノからヒトに変わる
- 名詞を動詞にする
- 禁止
- 特定ワードの禁止
- 定義
- 未定義ワードを定義
- たとえる
- バリエーション
- 仮定法:仮想的な設定により視点を変える
- バリエーション
- 立場の転換:別の立場で考えてもらう
- 異なる関係者を主語にしてみる
- ex. 経営陣、競合他社、ユーザー、非ユーザー
- 異なる関係者を主語にしてみる
- 制約の撤廃:目の前の制約を取っ払って考えてもらう
- 予算、納期、失敗OK
- 架空の物語:全く別の世界に想像してもらう
- SF的発想
- 立場の転換:別の立場で考えてもらう
- バリエーション
- バイアス破棄:特定の固定観念に疑いをかける
- ex. 本当に必要?xxの要素を除外したら?xxxではない領域だと?
- バイアス破壊と仮定法の合わせ技
- ex.
- もし美容ニーズを持っている女性をターゲット(仮定)から外してもよいとしたら(バイアス)、どんなリニューアルアイデアが考えられますか?(仮定法:制約の撤廃)
- もしこの世界から五感のうち「視覚」が(仮定)なくなったとしたら(バイアス)、自社の製品をどのようにリニューアルしますか?(仮定法:架空の物語)
- ex.
- とっさの質問リスト
- フカボリモード
- 素人質問
- 「すみません、これどういう意味ですか?」
- 「初歩的な質問なのですが、これはどういうことですか?」
- 「理解不足で申し訳ないのですが、このプロジェクトの目的はなんですか?」
- ルーツ発掘
- 「どこにこだわりがありますか?」
- 「なぜそこにこだわるのですか?」
- 「いつ頃からこだわるようになったのですか?」
- 「○○○とは何が違うのですか?」
- 真善美
- 「「正しい○○○」とはなんでしょうか?」
- 「本当の意味での「良い○○○」とはなんでしょうか?」
- 「今こそ考えたい「美しい〇〇〇」とはなんでしょうか?」
- 素人質問
- ユサブリモード
- パラフレイズ
- 「その言葉を、別の言葉に言い換えるとどうなりますか?」
- 「その言葉を、別のものに喩えるとどうなりますか?」
- 「その言葉を、このミーティングでは禁止しませんか?」
- 「その言葉を、数字で表現すると、100点満点で何点ですか?」
- 「その言葉を、改めて定義するとしたら、どのような言葉になりますか?」
- 仮定法
- 「もし~だとしたら、どうでしょうか?」
- 「仮に〜だとすると、どうなりますか?」
- 「もしあなたが~の立場だったら、どう考えますか?」
- 「もし制約がなかったら、どうしたいですか?」
- 「もし世界が〜だったら、どうなっているでしょうか?」
- バイアス破壊
- 「本当にXは必要ですか?」
- 「Xを除外してみると、どうなるでしょうか?」
- 「Xでない〜は、考えられないでしょうか?」
- 「XにあえてYを入れると、どうなるでしょうか?」
- パラフレイズ
- フカボリモード
- パラフレイズ:別の言葉や表現に言い換えを促す
複数の質問を組み合わせる
(改めて)
問いかけの作法②組み立てる
開始5分が勝負
- ファシリ熟練者がむずかしいと感じるのは、冒頭。逆に冒頭さえうまくいけば、その後はそんなに難しくない
- 我々は想像以上に集中していない。冒頭でドキっとする問いかけを。
- 注意を引くためのアプローチ
- 予告:事前に伝えておく
- 心の準備
- 共感:相手の心境をだいべんする
- 本当に投げかけたい質問の前に共感コメント
- 煽動:前提を大袈裟に強調する
- 大袈裟な枕詞
- ex. 我が社の社運をかけた課題なので〜、社内の他の誰でもない〜
- 大袈裟な枕詞
- 余白:あえて間を演出する
- 数秒の沈黙
- 予告:事前に伝えておく
レトリックで投げかける
- 問いかけのレトリック3タイプ
- 光の量を足す:質問の前提や特定箇所の印象を強める技法
- 倒置法
- 誇張法
- 列挙法
- 対照法
- 光の色を変えるタイプ:質問の意味を拡げ、イメージをふくらませる技法
- 比喩法
- 擬人法
- 共感覚法
- 五感に関する表現で感覚を刺激
- 声喩法
- オノマトペ
- 光を和らげるタイプ:質問の言葉のニュアンスをぼやかす技法
- 緩叙法
- 二重否定で直接表現の印象操作
- 婉曲法
- オブラートに包む
- 緩叙法
- 光の量を足す:質問の前提や特定箇所の印象を強める技法
アフターフォロー
- 意見が出てこないときは、ハシゴをかける
- 前提を補足
- 意義を補足
- はーどるをさげる
- 手がかりを渡す
- リマインド
- 組み立て直す