会社でQごとのチーム/個人目標を運用し始めて、このQが二期目。目標の立て方はもちろん、立てた後どうチームに浸透させ、コストをかけて運用する価値のあるものにする難しさを感じている。
「目標を立てる目的」である「チームや個人の能力・パフォーマンスの最大化」が達成されなければ、もはや目標を立てる意味は全くない。
うちの会社ではベンチャーマネジメント研修を手掛けるEVeM社のフレームワークに則り、全社的にマネジメントを行っている。
チーム/個人目標もEVeMのフレームワークに沿って運用しているが、世の中で多く使われる目標管理のフレームワークがどういう思想のものなのか、EVeMとの共通点・相違点を知るためにOKRの名著である本書を読んでみた。
結論からいうと、EVeMの思想とOKRの思想はほぼ一致していた。むしろ、「明確な相違点」と言えるものはなかった。1つEVeMでは言及されていなかった点で、「目標は全社員に見えるように公開しろ」があったが、それ以外は基本的に同じことを言っていた。
OKRの「4つの威力」として以下が挙げられていた。
- 優先事項にフォーカスし、コミットする
- アラインメントと連携がチームワークを生む
- 進捗をトラッキングし、責任を明確にする
- 驚異的成果に向けてストレッチする
無数にあるアクションの中から、最も成果につながる「目標」と「主要な結果」を設定し、やるべきことを明確にする。目標の設定レベルは、70%程度の達成確度となるストレッチさを設定。野心的な目標が、驚異的な成果へのドライブとなる。目標は、最上位である全社目標から個人までつながっており、それによって連携やチームワーク、従業員のモチベーションにつながる。最後に、期が終わったら振り返りを行い、出てきた反省点を次の目標設定へと繋げていく。
ざっとまとめるとこんな感じか。
他にもEVeMとの共通項はあった。
- OKRと給与や賞与を結びつけるな
- OKRは常に仕掛かり中のプロセスである。期の途中でOKRを変更することも、場合によっては破棄することも構わない。
以下、学びポイント列挙しているが、1番の学びは
目標設定→日々の業務や1on1でのメンタリング→評価・FB
このサイクルを正しく回すことができてはじめて、チームや従業員のパフォーマンス・モチベーション向上につながるんだと改めて理解できたこと。
その出発点である目標設定がどれほど大事であるか、実際に現場で運用していても感じる。明らかにメンバーのアクションがチーム目標にフォーカスされている。
マネージャーになって丸2年くらい。ほんの少しだけ、マネジメントのことが分かってきた。気がする。気がするだけ。
その他、学びポイント。
- うんざりするほど繰り返し言うことで、みんなが耳を傾けてくれるようになる
- 間違った目標は、会社を窮地へと追い込むことすらある(品質度外視の数量目標など)。何を目標に置くかは、慎重に考えよう。ただし時間をかけすぎない。
- OKR設定は1回目からうまくいくはずなどない。2回目、3回目でも難しい。何度も繰り返し、それでようやく成功へと導くことができる
- 公開された目標の方が、非公開な目標より達成確率が上がるという研究結果がある
- 不確実性が大きい初期フェーズの事業に関する目標は、主要な結果が大きく達成したり未達になったりするので、ほどよい数値目標を設定するのが難しい。その場合は、期限の目標を設定するとよい。より現実的かつ野心的な目標となる。
- 目標が野心的でありすぎると、主要な結果は保守的になりがち
- 現場で働く従業員は、自分の目標がどう会社とつながっているのかが分かると意欲的になる
- 期中に目標を打ち切ると決めたら、それに携わっている全員に必ず通知し、振り返りを行うこと。「四半期の最初に予見できなかったことで、新たにわかったことは何か」「この教訓を将来的にどう生かしたらよいか」と。
- OKRパフォーマンスの評価は、客観的データを目標設定者の思慮深い主観的判断で補足する。そもそもの目標難易度も違えばどれだけそこにコミットしたかも違う。それは数字に出てこない。
- 会社が小規模で、リソースが限られている時ほど、自分たちがどこに向かおうとしているのか定めることが大事
- 管理職でない従業員にOKR設定をさせることは、マネージャーになる準備の機会を与えていることになる