Shimpei Wakida's Blog

日々の学びをゆるりと.

意思決定に必要なのは「正しい結論」ではなく「正しいプロセス」〜『決断の本質』読んだ

この記事は 「エンジニア積読消化 Advent Calendar 2023」の22日目の記事です。

qiita.com

読んだ本

この本を選定した理由

この本、1/4くらいまで読んで挫折していました。ただ、「意思決定プロセスに関する内容で、『意見の対立』と『コンセンサス』の2つの要素がある」というキーワードは覚えていました。

直近業務の中でこの辺りの課題を感じる場面が何度かあり、改めて読む機運が高まっていたところでした。

(厳密にいえば11月に読み終えてたけど、まあ細かいことは気にしない。)

ビジネス書マンダラ

本書の存在を知ったきっかけは、山口周さんの著書『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』で紹介されていたことです。この本では、経営学独学のための読書ロードマップとして「ビジネス書マンダラ」が登場し、マンダラの一冊として『決断の本質』がありました。

「ビジネス書マンダラ」に出会って以来、マンダラの本を少しずつ読み進めています。かれこれ2年くらい経ってますが、マンダラの本は名著が多く、ゆえに内容が濃く、1冊読み終えるのに相当の時間がかかるので全然消化が進みません。

僕はエンジニアでありマネージャーでもありますが、それ以前にビジネスパーソンとして幅広く知識体系やスキルを持っていたいと、日頃から強く思っています。ビジネスの基礎知識として1つの枠組みを提示してくれたマンダラは本当に重宝しており、これをベースにビジネスの知識を吸収しております。

これまで何冊か読んできました。どれも、流行りのベストセラーにはない、数年では錆びることのない普遍的な学びが多く、読後の満足度は総じて高い傾向にあります。僕との相性でいっても、このマンダラかなり信頼してます。

現在のマンダラ本消化状況。誰にも負けないくらい積読してます。

以下、雑多な感想やメモです。

感想やメモ

今年読んだ本の中でトップ5には入る面白く学びのある本だった。

一言で要約すると、「優れた意思決定をするためには、『正しい結論』ではなく『正しいプロセス』を設計せよ」となる。要は、「決める方法を決める」こと。

似たような概念が書かれた本で『THE TEAM』があった。『THE TEAM』では、意思決定の方法として「合議」「独裁」「多数決」があり、それらを使い分けよ、ということが書かれていた。特に、早く意思決定をすることでアクションの時間が長くとれるので、意思決定者が一人で決める「独裁」をいかにうまく使うか、に焦点が当てられていた。

r25.jp

『決断の本質』では、意思決定の方法について『THE TEAM』より多角的な視点から、より抽象レイヤーで法則を導き出しています。

正しいプロセス設計において重要な2つのキーワードは、「意見の対立」と「コンセンサス」。

多くの意思決定者は、「何を決めるか」という「正しい結論」を導こうとするが、真に追求するべきは、「どうやって決めるか」という「正しいプロセス」であるというのが本書の一貫した主張。

読んだ感想としては、「言ってることは分かるし、概念も難しくない。ただ、本に書いてあることを実行しきるのはとてつもなく難易度が高いな」だった。

その理由は、大部分が意思決定者本人の「リーダーとしての資質」に依存しているからだと感じる。

つまり、テクニックとして知っていればできるというものではなく、「知っている」と「できる」の間には、とてつもない隔たりがある。分かってるけどできないってやつ。

実際、こんな一節がある。

タイミングよく討議を締めくくり、その決定に人々の指示とコミットメントを得ようとすれば、最終的に必要なのはリーダーに対する信頼である

割と後半に出てくる一節なのだが、そこまで散々「意見の対立」と「コンセンサスの形成」というHOWを語ってきて、最終的に「ただし、信頼があればね」とは。。

ただ、読み進める中で「分かっててもやるのは難しいよ」と感じた理由は、まさにリーダーシップの部分で説明できるので、悔しいけど合ってる。

特に、意見の対立の部分。

「意図的に意見の対立を促し、幅広い意見を出させることで、討論の質を高め、参加者のコンセンサス醸成につながる」というのは、文字にするととても簡単そう。

ただ、実際に自分が推進したい事象の意思決定の場で、シニアメンバーから真っ向から反対意見をもらったら、果たして冷静でいられるだろうか?

また、本書の内容を実践して意思決定プロセスを決めたとしても、そのプロセス自体に強い反発があったら冷静でいられるだろうか?

たぶん、あまり冷静ではいられないと思う。何をすればよいか頭では理解できるかもしれないが、感情的にならず合理的に物事を進められる自信はない。

この時足りないのは、本書にあるようなテクニックを知っているかという知識の問題ではなく、一人の人間としての強さ、リーダーシップだと思う。

結局、本書に書いてある意思決定プロセスをやりきるためには、土台となるリーダーシップが必要となる。これが分かったのが、今回本書を読んでみての収穫かな。

おわりに

こんな感じで、本を読んではその時感じたことをこのブログにつらつらと書き残しています。 今年は50本くらい記事書きました。来年も同じくらいのペースでアウトプットがんばっていきます。