先日参加した ナレッジワーク代表麻野さん(@asanokoji)によるウェビナー「Management Boot Camp」の中で、参考書籍として紹介されていた一冊。
ここ数年読んだ本の中でも、トップクラスに面白く学びの多い本だった。
「リーダーとマネージャーの違い」としてよく説明される例として、「リーダーは旗を立ててゴール地点を設定する人、マネージャーはゴールまでに行き方を考える人」がある。
たしかにシンプルで分かりやすい。
ただ、自分は今エンジニアリングマネージャーという立場であるが、実際にはチームの戦略を考える、まさにリーダーとしての仕事もやっている。
「リーダー(リーダーシップ)とマネージャー(マネジメント)」。両者の区別は曖昧でよく分かっていなかったが、そこに答えを出してくれた気がする。
リーダーシップ発現には組織設計も大きく関係していると知れただけでも、この本を読んでよかった。
現在リーダーやマネージャーをやっている人に限らず、全ビジネスマンに関係する話なので、誰にでもオススメできる。
文章自体がとても読みやすく、200ページというビジネス書ではやや少ないボリュームだけど、内容の充実度は半端じゃない。
しっかりと血肉とすべく、マインドマップにまとめた。
本のざっくりとした内容は以下
- リーダーシップとは
- リーダーシップとマネジメントの違い
- 組織設計
- リーダーシップ開発
リーダーシップとは
本書でのリーダーシップの定義は、「フォロワーがリーダーの中に『ついていくに足る資質』を認めて、内発的動機づけに基づいてリーダーについていく行動をとること」。
ポイントは、その主体がリーダーではなくフォロワーにあること。フォロワーの中に、リーダーについていきたいという気持ちが生まれ、行動されて初めてリーダーシップが発現する。
リーダーシップとマネジメントの違い
ざっくり表にまとめるとこうなる。
マネジメントは、会社および組織が主体となり、各組織ユニットを対象として行うもの。リーダーシップは、リーダー個人が主体となり、フォロワー個人を対象とする。
定常業務や繰り返し業務はルールと規律によって"マネジメント"で管理するが、既存のルールや規律で対応できない新規の仕事やクリエイティブな仕事に、リーダーシップが必要となる。
リーダーシップは個人対個人の関係性なので、1人のリーダーに対して5人のフォロワーがいた時、5人全員との関係性の中にリーダーシップが生まれるかというとそうではない。フォロワーが、リーダーについていきたい気持ちと行動がなければそこにリーダーシップはない。
組織設計
じゃあリーダーシップは、リーダー個人のリーダー的資質があるかどうかだけで決まるのかというと、そうではない。
リーダーシップが生まれる構造として、4つがある
- リーダーシップコア
- チームケミストリー
- タスク特性
- 組織特性
「リーダーシップコア」は、リーダー個人のリーダー的資質があるかどうかの話。「チームケミストリー」は、リーダーとフォロワーの性格や思考特性・行動特性の相性。「タスク特性」は、不確実性が高い/低い、個人の裁量が大きい/小さい、定常業務か否か、ウォーターフォール/アジャイル、などの、業務の特性。「組織特性」は、組織の切り分け方として機能別組織か事業部制か、組織階層の数は多いか少ないか、組織のサイズが大きいか小さいか、といった話。
上記4つのうち、実は2〜4は組織設計、いわゆるマネジメント領域の話。つまり、「リーダーシップが生まれるかどうか?」に、マネジメントも大きく関わっている。
リーダーシップ開発
リーダーシップ発現において、重要なのは「フォロワーがリーダーをついていくに足る人物だと認識すること」で、つまりは、リーダー的資質を事実として保有しているかどうかではなく、保有しているように"見せる"ことが大切。
リーダーシップコアの構成要素は、「能力」「人間性」「一貫性」の3つだが、各要素を習得・強化していくことに加え、うまく見せるという演出も必要となる。
能力については、習得・強化していくしかない。一貫性も、平常時だけでなく有事でも一貫したふるまいが取れるよう、胆力を鍛える必要があり、これも習得・強化が求められる。
一方、人間性については人としての性格そのものであるので、すぐには変えることができない。ただ、意識して振る舞いを変えることはできる。具体的には、フォロワーサーベイなどを行い、リーダーのどのような行動について、リーダーとして相応しい/ふさわしくない と感じているか把握し、ピンポイントで改善を行うとよい。